いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


しゅんと肩を落とす真衣香を見下ろしているのか、チクチクと視線を感じる。何も言えないでいると。

やがて、はぁ……。と、大きなため息が聞こえ、続いて穏やかな声が真衣香の耳に届く。

「ひとりにしてて悪かったな、何かイレギュラーあったか」
「いいえ、仕事自体は今さっきなんとか終わりました」

真衣香は無意識に、仕事以外に問題があったことを匂わせてしまったようだ。

八木の声が少し低くなった。
「じゃあ、なんだ。 坪井か」そう言って、手にしていた鞄を、苛立ちぶつけるようにしてデスクに投げ置く。

「げ、厳密に言うと……違うというか」

ハッキリしない真衣香の頭を、八木は拳を作り軽く小突いた。

「早く言え」
「わ、私二股かけてるみたいです! 顔で、よ、よよ、夜の相手を選んでるとか」

何と言葉にすればいいのか、まとまらないまま声にしてしまったので予想以上に直球を投げてしまった。

(……も、もっと、あるでしょ……言い方)

恥ずかしさのあまり俯いて、キツく目を瞑ったのだけど。

すぐに聞こえてきた、ガコン! と、何かを落としたような派手な音に目を開けると、八木のものだろうか?
ペットボトルのお茶がコロコロと真衣香の足元まで転がってきた。
見上げると、驚いたように何度もパチパチと瞬きを繰り返している。

「…………あ? お前がか?」
「みたい、です」
「みたいですってなぁ、何でそんなことになってんだ」
「わ、私もわかりません。 今日来たらいきなり言われてました。 八木さんと坪井くんと……って」

それを聞いた八木は「あーー」と、何やら頭を抱えて席に着いた。

「八木さん?」
「ったく、どうせ月曜のことだろ? 誰か好きに脚色したんじゃねーのか。 一部だけ見て」

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