いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「え? どの一部始終ですか?」と真衣香も八木に続いて席に着いて聞いてみる。
「俺がお前を担いで運んだ、その後坪井が血相変えて飛んできた、応接室でのやり取りを見てた奴がいた。 ネタの宝庫だろ、どれ見てそうなったかは知らんが」
「そ、それは……」
(そりゃ、あれだけ派手に倒れて八木さんに迷惑掛けて……あげく坪井くんまで登場してたら)
もともと坪井とのことは噂になっていたのだ。 それが、どう変化していくかなんてよく考えれば想像もできただろうに。
「や、八木さん……、すみません。 月曜日にあんな迷惑をかけた上に……こんな」
「いや、お前の話だと俺や坪井は無傷だろ」
そう言うと、少し考え込むように黙り込んで、ゆっくりと再び口を開く。
「悪かったな、あん時は俺もムキになってたとこあるわ。 余計嫌な思いさせたか」
まるで自分に非があるかのように八木が言うから、真衣香は大きな声で反論した。
「そ、そんなことあるわけないです! 八木さんのおかげで、やっと……失恋したんだって受け止められてきたのに」
そんな真衣香を見て、八木はホッとしたように笑みを作った。
その笑顔は熱にうなされる夢の中で見た、優しい笑顔と重なった。
「まあ、それならいいんだけどな」
八木が真衣香の頭をわしゃわしゃと撫でて「……に、しても色々ややこしいもんだなぁ」と、天を仰いだ。
それから、じっとこちらを見つめて真衣香に問いかける。
「どうすんのが、お前は一番気が楽だ?」
「どうするって……」
答えに詰まると、唐突に八木が真衣香の手を取った。