いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


しかし、そんな会話の最後は決まって、

『でもいつ迫ってみても彼女いるもんね〜。 女切れないのかな』で、締め括られていたことをよく覚えていたのだ。

(だって、恋愛に憧れてたし……)

そんなキラキラした気持ちが、遠いものに思えてしまった。

「なんだ? んなことか、今いねぇわ。 いたらさすがにここまでお前に手ぇ貸せんだろが」
「え、じゃあ今は迫られ時では……? 皆さん、迫りたがってましたよ」

思い返した記憶のままを真衣香が口にすると、ぺちんと額を叩かれる。

「アホか、なーにが迫られ時だ。大して意味わかってねぇくせに、いっちょまえに言ってんなよ」
「だ、だって、みんな、噂してましたもん。 いつ狙えばいいかわからないほど彼女が切れない的な……」

バカにされたように聞こえた真衣香は、涙目で八木に食らいつく。
その様子に「ぶ!」と吹き出した八木が、そのままケラケラと愉快そうに笑い声をあげた。

「ま、そーいうことだから、ちょっとの間つきあっとくぞ」

(そーいうことって、何が!?)

「そ、そんな簡単に……」
「だから固く考えんなって、フリだっつってんだろ。 マジで女にするならお前はもうちょい色気つけてもらわねぇと無理だから、安心しろ」

言い終わった途端に、バシン!と強めに背中を叩かれて、真衣香は弾みで立ち上がった。

「い、痛いです、八木さん私を叩きすぎです」
「おう、ほれシャキッとしろ。 もう帰れるんだろ? 一緒に帰るぞ、それらしくして」

ニマニマとやはり愉快そうにしている。
これは完全に飼い犬と遊んであげている飼い主様の目に違いない。

ぐぬぬ……、と真衣香は唇に力を込めた。
しかし助けられているのは事実なのだから、いつものように文句など出て来るはずもないのだけれど。

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