いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
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八木を待たせている為、更衣室に駆け込んだ真衣香は急いで制服を脱ぎ、着替える。
月曜日に置いて帰った私服、人事部の女性から受け取ったライトグレーのお気に入りだったコート。
全部を手に持ってみれば、意外と大荷物になってしまった。
エレベーターの裏にある自販機に、もたれ掛かるようにして立っている八木を見つけた真衣香は走って近づく。
「お、お待たせしました……!」
「お前な、別に急いで来いなんて言ってねぇだろ」
呆れたように言って、真衣香の乱れた髪をぺしぺしと乱暴に整え、手に持っていた紙袋を取り上げさっさと歩き出してしまう。
「じ、自分で持てます!」と声を張り上げながら、後を追いかる。
(それらしく……って、いつもと変わらないけど)
なんて。
もう既に先ほどの話を忘れているのではないかと思った真衣香だったが。
その読みはどうやら外れたようで……。
八木は、ごく自然な様子で真衣香の手を包んで、指を絡めていく。
「え、えぇ!?」
「おい叫ぶなよ、それらしく見えねぇとお前いつまでも二股女呼ばわりだぞ、いいのか」
(それは嫌だ……)
「……だ、黙ります!」
勢いよく返事をしてみたものの、緊張だけはどうしようもない、コントロールなどできはしないのだから。
「手繋ぐくらいで固まんなよ、アホ」
「し、仕方ないじゃないですか……。 男の人と手を繋いだのなんて、ついこの間が初めて……で…………」
言葉にした後で、しまった、と。真衣香は思った。