いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「この二年何もなくてどうしていきなり、今、立花に手出すんです? 嘘だって普通にわかりますけど」
もっともな意見だ。
しかし八木はさして気にする様子も、焦る様子もなく平然と答えた。
「仮に嘘でもな、お前に関係ねぇだろって何回言えばわかるんだよ。 つーか話しかけてくんな、さすがの俺も自分の女がビッチ扱いされんのは我慢ならねぇんだわ」
吐き捨てるように言って、坪井に背を向け八木は歩き出した。
真衣香の腰を引き寄せて、手を添えて。
まるで、愛しい恋人をエスコートしてるみたいに歩く。
数歩進んだところで、ドン!と、背後で鈍い音がして、真衣香は肩を震わせた。
八木には何の音なのかすぐにわかったようで、ダルそうな溜め息を吐く。
「気にすんな、壁殴ってる暇ありゃ自分の意味わからん頭でも殴ってろってんだ」
八木が、真衣香の耳元で悪態をつく。
(つ、坪井くん、壁殴ったの!?)
”意味がわからない”と言う、八木の言葉に、真衣香は心の内で大きく頷いた。
(何に、怒ってるのかわからない……。 坪井くんが何考えてるのか全然わからないよ)
そう思うのに。
壁を殴ったにしては鈍く、そして大きく響いた音。
ああ、痛くはないのだろうか。そんなふうに彼を案じた自分に呆れながら八木の隣を……ただ必死に前を向いて、歩いた。