いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


八木が気まずそうに目を伏せて謝るものだから、真衣香は慌てて言葉を遮るけれど「お前俺を何だと思ってるんだ」と。ずいっと顔を寄せ睨まれてしまう。

確かにそのとおりだ。 気恥ずかしくなり、可愛げのな言い方をしてしまった。
普段からの真衣香への扱いもあり、八木にはつい素直になれないこともあるのだが……ここ最近は本当に、頭が上がらないほど助けられてしまっている。

「……いろいろ、ありがとうございます」
「何だいきなり」
「八木さんのおかげですね、もう私の噂なんて二の次みたいになってますよ。 坪井くんに相手がいないって方が盛り上がっちゃって」

真衣香は、笑顔をつくって、軽く思いついたような口ぶりで言った。

口を開けば真衣香をバカにして、からかって楽しんでいるような人が、素直に謝罪の言葉を発してしまう。
それ程までに心配をかけ、また巻き込んでしまっている八木のことを、安心させたいと思ったから。

(私が山本さんに怒られてばっかりだった頃もなんだかんだ、フォローしてくれてたよね)

真衣香は前任の総務の大先輩のことを、そして、それと同時。
忘れかけていた八木の面倒見の良さを思い返していた。


「アホか。あんなくだらん噂すぐに消えて当たり前なんだよ」

八木は、そう言いながら真衣香を見ると、もう一度「アホ」と呟いてから頬をムギュムギュとつまんでくる。

「や、やめへくらへゃい……」
「お前は丸顔だよなぁ」

八木が楽しそうに笑い声をあげて言うのだが、全く楽しくない真衣香は、その手をベシベシと叩きながら睨みつけ抗議する。
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