いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


(夏美がいて、立花に何しでかすかぐらいわかってたんだよな)

これまで散々、坪井のまわりを離れなかった咲山が何をしていたか知っていたし、知っていて見ないふりをしていた。

けれどあの日、坪井が強く言えば咲山は引き下がったはずだ。

なのに、しなかった。

加えて、あの店はとてもじゃないが真衣香が好むような店ではない。元々は坪井が咲山を連れて行き、そこで咲山の友人が常連だと判明して『世間は狭いねぇ』だなんて、二年前会話に花が咲いた。
そんな経緯で通うようになった。

だが客層は悪く、真衣香を連れて行った日にも来ていた咲山の友人たちも多くが男で。酒が入ると"悪い"層の客に入る。
その為、真衣香にどんな態度で、どんな言葉をかけるかくらい何となくだが想像がついていた。

ついていたのに、あえて真衣香と咲山を対峙させた。
そんな自分は、なんて卑怯だろうかと坪井は思う。

(俺が傷つけて離れてくんじゃなくて、夏美に傷つけられて逃げ出してくれればいいなんて)

思い返せば矛盾だらけだ。
真衣香から離れたいのに、自分自身が傷つけるのは嫌だ。そのうえ、いざ傷つけられている彼女を見ると頭に血が上った。無意識に守ろうとしてる自分がいた。

傷つける場に傷つけようとして連れて来たのは自分自身だというのに……だ。

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