いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
ずっと、どうしようもなく恐ろしかったんだろう。
唯一、向き合いたくない自分と引き合わせる、逃げ道を塞ぐ存在が。
目を開けても、閉じても。何をしてても全てが、その存在に囚われているような感情が。
浮かんでは、いつまでも消えない愛おしい笑顔が。
(もうずっと、怖かったんだ)
"立花真衣香"のことが、怖かったんだ。
いつからだったのかは、わからない。
もしかしたら初めて声をかけたあの日からだったのかもしれない。
(……でも、いつからなんて、関係ないだろ)
もう傷つけてしまったんだから。
たどり着いた明確な答えに、静まり返る社内の風景が、空気が。
責めるように彼女の幻影を見せる。
(そうだよ、だからって何だ)
傷つけていい理由にならない。あの真っ直ぐな信頼を、無垢な笑顔を裏切っていい理由になんかならない。
自分本位に傷つけたこと、その仕打ちを思うと。どう懺悔しても、償い切れやしないだろう。
(……八木さんの存在に焦って、自覚する前に口走って動揺させて、ヤバすぎるだろ、俺。最悪すぎる)
傷つけた真衣香に、今できることって何だろう。そう考えて、どうしようもなく胸が痛んだ。
もう、傷付けたくない。
こんな身勝手な人間に振り回されて欲しくもない。
笑っていて欲しい。
なによりも綺麗なあの笑顔に、影を落とすものを許してはいけない。
(その"影"の、1番の理由は……俺か)