いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
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休日の昼下がり。
彼女は人混みの中、坪井の姿を見つけると一目散に駆け寄ってきた。
陽の光と合わさって、輝く表情からは。溢れ出さんばかりの好意を感じ取れる。
「珍しいね〜。 涼太から呼び出してくれるなんて」
息を弾ませ、隣に立ったのは咲山夏美だ。
半年ほど付き合い、その後もだらだらと関係が続いていた。
(なんだろ、どんな関係って聞かれたらセフレが一番しっくりくるのかな)
そんな意味では"特別"に、なるのだろうか。
考えながら咲山を見ると、やはり楽しそうに笑顔を見せる。
申し訳なさばかりが、身勝手な心を支配した。
「ごめんな、急に呼び出して」
真衣香と関わらないように数日を過ごし、その週末。坪井は咲山を自宅近く、駅前のカフェに呼び出していた。
「別にいーよ。 涼太とお昼から会うの初めてだね? いつも夜じゃん」
当たり前のように咲山が腕を絡めて隣に並ぶ。
その手をやんわりと引き離すと「どしたの?」と不思議そうな声がした。
「ちょっと話せる?」
改札を出てすぐにあるカフェを指すと、怪訝な顔を見せた。
「いいけど、なんでわざわざ? 涼太の家がいい」
「ごめんな。先にここで話したい」
数秒だろうか。
見つめ合う……という表現よりも睨み合うと言ったほうが正しいかもしれない。
そんな視線を交わし合った後、咲山は大きく息を吐いて「……わかった」と短く答えた。
店内に入り「お好きな席にどうぞ」と店員が言い終わるよりも前に、咲山はズカズカと進み1番奥の席に座る。