いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「そりゃ、私くらいしか行きたくないでしょ。 涼太の部屋なんて。 荷物取りに来いってこと?」
「ごめん。 こーゆう時どうするのが正解かわかんなくてさ」
無言のまま、長く深いため息が返ってきた。
「……わかった、取りに行ってあげる」
立ち上がった咲山を呼び止める。
「え、もう出る? 口つけてもないけど」
「いらない。 さっさと終わらせよ」
思いのほかあっさりと従った咲山を不思議に感じながら、けれどそれよりも。振り回し続けた自責の念が強い。
追いかけるように急いで席を立った。
「俺が呼んだし、出すから」
レジに向かう途中で財布を取り出した咲山に伝える。
フイっと視線をそらして「ごちそーさま」と不機嫌な声が返ってきた。
店を出て、無言のまま並んで歩く。
思えばこうして咲山と並んで歩くことは、あまりなかったように思う。
一緒に飲みに行けば、家には連れ帰らずホテルを利用したし。そうでなければ『行ってもいい?』という咲山からの連絡に『いいよ』と返して待つだけで。
きっと咲山は何度も暗いこの道を、ひとりで歩いていた。
(思い返すと、マジで終わってんな……)
マンションに着き、エレベーターに乗り込む。
会話もないまま部屋の前に着いた。
「まとめてるから、ちょっと待っててな」
と玄関を開けると。
咲山が背後から思い切り坪井を押した。ふいをつかれ、そのままバランスを崩し玄関先に膝をついてしまう。
「……痛ぇ」
声にしながら振り返ると、見下ろす咲山が無表情のまま鍵を閉め坪井に跨る形で座った。
「……ちょっと、夏美。 何してんの、離れてよ」
「ねえ、別にいいじゃん。 いつもみたいにこのまましようよ」