いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「とりあえずこのままだと先月の予測を下回るだろう、取り戻せてから次は連絡してきなさい。そうしたら俺も会社に戻ろう、立花さんとのドライブデートを切り上げてな」
高柳が、そう声にした途端だ。
『ドライブデート!?』
と、耳元から声が漏れて聞こえてきた。と、言うよりもほぼ普通に聞こえた。
『立花とって……またですか!何やってくれてるんですか部長!ダメですって!』
苛立ちながらも、どこか楽しそうに高柳は返す。
「声が大きい。また、と言うなら同じような手を何度も使わせないでくれ。俺にも一応ほんの少し良心はあるんだ」
次の声は、ボリュームダウンしたのか。何となくしか聞き取れなかったけれど、電話の相手は確実に坪井だ。
「いい連絡を待ってる、立花さんと一緒にな」
言い終わると、まだ聞こえてくる声を無視して、高柳は一方的に通話を終えた。
そして満足げに口元に笑みを作って、チラリと真衣香に視線を向けた。
「と、言うことで申し訳ありません、立花さん。もう少し俺と過ごしていてもらえますか?」
「い、今のは……その、坪井くんですか?」
聞くまでもないが、一応問いかけてみると。
「そうです」と小さく頷いて、すぐに視線を前に戻されてしまった。
「あのバカはもう少し、弱点を持ってしまったことを自覚するべきだと思いまして」
続けて放った言葉。表情こそよく見えないが、声はとても優しく響いて、真衣香の耳に届いた。
しかし、それは真衣香への感情を乗せた声ではない。
「高柳部長は、坪井くんのことが好きなんですね」
真衣香の言葉を聞いて、高柳はクスッと小さな笑い声を上げる。
「いや、言葉にされると気持ちが悪いものですね。まあ、否定はしません、何となく息子に似ているので。どうも構いすぎてしまって」
「そうですか、息子さんに……って、ええ!?む、息子さん、ですか!?」
今日一番大きな声を出した。
そんな真衣香の反応に、高柳はもう一度小さな笑い声を響かせる。
「意外でしょうか?20になる息子がいます、飄々とした生意気具合がそっくりで」
「は、はたち!?え、た、高柳部長は……」
おいくつでしたか?が、なかなか声にならないでいると高柳は自ら答えた。