いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


(なんで?だって、もう私は坪井くんのこと好きじゃない、嫌いにはなれてないかもしれないけど、でも)

『立花さんが認識していたものが、ごく一部だったとは、思いませんか?』

高柳の声が、突如響いた。

『俺さ、お前のことが、怖かったんだよ。自分でもビビるくらい、怖かった』

坪井の声が、続いてよみがえる。

『俺を嫌いでもいい。でも、俺は、お前が好きだから。それだけ、知ってて欲しい』

声とともに、切なそうに目を細める、あの瞬間の表情までもが。

真衣香の心の内、その声を。惑わせて、否定しようとしてくるみたいに。

散らばっていた、たくさんの言葉が、声が、頭の中で一つにまとまっていくような感覚。

痛いくらいの、キスをされた夜。
何かに傷つきながら、絞り出すように、乱暴に。『大好きだ』と声にした、その時の。
震えていた手を、知らないフリした。

そんな坪井を前に芽生えてしまっていた新たな感情を、一体いつまで”知らない”と目を背けていられるだろう。

「お、思って……ない、よ」

(違う、いつまで……なんかじゃない。もう二度と嫌だ。あんな思いはしたくないんだってば)

手をぎゅっと握りしめる。手のひらに爪が食い込んで痛いけれど、それくらいがちょうどいいんだろう。
もう間違えたくない、強く思う。
思うけれど”間違え”とは、何を指すのか、それすらまとまらなくなってきている。

「じゃ、じゃあ、頑張って、みようかな。立花さん言ってくれましたもんね、坪井さんに相談してみるといいって……。助けてくれるかな……?仲良く、なれるかな」

キラキラとした笑顔を見せる笹尾を前に、返す言葉を見つけることができない。
いつのまにか川口との悩みよりも、坪井のことが本題になってしまっている。

「立花さんが、こんなに優しい人だと思わなかったです」

笹尾が、真衣香の両手を勢いよくガシッと握りしめてくる。

「……え?」
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