いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


恐縮だといった様子で高柳や川口を見上げてからふるふると、真衣香は首を横に振った。
そうしてホッとしたように、微笑む。

そんな真衣香を見て、坪井は嫉妬や落胆の感情を一旦押し込め、思った。

今、笑えること。それも、心底安心したように、潜んでいた悪意など探ろうともせずに。

……素直に凄いと思う。自分ならばと置き換えたなら、小野原の時と同様、まさか出来そうにはなかった。

こうやってどこまでも人に優しい人間に、何度も声を荒げさせ、泣かせたた自分を改めて心から軽蔑する。坪井は何度感じても足りない罪悪感で、苦しいほどに胸を締め付けられていた。

そんな時だ、腕にポンっと誰かの手が軽く触れた。

「坪井くん、坪井くん」

相手は小野原だ。何やらコソコソと話しかけてくる。

「どうしました?」
「部長が川口さんとは話してくれてたっぽいじゃん。坪井くんも帰ったら? 立花さんと一緒に。お互いその方が嬉しいでしょ?」
「……えー、いや、それはちょっと」

嬉しい発言だったが、それはきっと"坪井だけ"が嬉しいものだ。

「なんでよっ」と怪訝そうに小野原が、やはりコソコソと返してくる。
坪井は眉を下げて笑みを作った。

「いや、疲れてる時は嫌いな奴とは一緒にいたくないでしょ」
「え? 嫌いって、あの訳のわからない噂の話? 待って待って、2人つきあってるんだよね?」
「……あー、いや、違いますよ。今は」

「はー?」と、軽く睨みを聞かせながら小野原が更に問い詰めてくる。

「ちょっと、あの子に嫌われるとかよっぽどよ。 何したのか知らないけど、あの時は確実に付き合ってたでしょ? じゃあ何? 今はほんとに八木さんと付き合ってるっての? 立花さん」
「……みたいな、感じですね、多分」

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