いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「あ、あの……」

すぐ近くまで歩いてきた真衣香が口を開きかけたが、それよりも前に川口が走り寄り大袈裟に頭を下げた。
……本気でビビってる半分、高柳へのアピール半分。といったところだと思うけれど。

「立花さんごめん! 俺焦ってて、あんたに酷いこと言った。本当にごめん!」
「え……、え!? そ、そそ、そんな、えっと」

川口の態度がこの短時間であまりにも変化した為か、声を裏返しながら驚く。自分の後ろに誰かいるのではないかとキョロキョロ確認までしているから。
坪井は自然と、口元を綻ばせた。彼女の行動ひとつひとつが、どうにも愛しすぎる。

「立花、お前に謝ってるんだよ、川口さん」

焦って驚いて、慌てふためく姿も可愛いけれど。いつまでも落ち着かないのはかわいそうだ。なるべく安心させたくて、できる限りの優しい声でそう伝えると、隣から痛いほどの視線を感じた。
見れば、笹尾が目を見開き、口をパクパクと何やら面白い顔をしながら「声、声、さっきと別人……」と呟いている。
お前を話してた時と一緒なわけあるかよ、と、肩をすくめていると。

「あ……、つ、坪井くん」

今見つけたと、そんな反応を見せられる。

「えー、酷いな。俺ずっといたのに」

若干ショックだったが、まさかそんな態度取るわけにはいかないと。努めて軽く返事を返した。

「ご、ごめんなさい」と声が萎んでいく。

「坪井に謝る必要は全くありませんよ。逆に俺からも謝らせて下さい。余計な心労を掛けてしまって申し訳なかったね、立花さん」

ここぞとばかりに高柳が真衣香の肩に触れ、キャラ違いますよと言いたくなる優しい声を掛けるものだから、もちろんイライラとそれを眺めていた。
顔には、出さないけれど。

「た、高柳部長まで……」
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