いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「自己責任……」
小さな声で八木の言葉を繰り返した。
身動きが取れなくなるような息苦しさや、大袈裟だと笑われるのかもしれないが死にたくなるくらいの苦しさ、痛み。全てあの夜に真衣香を襲った感情で。
当然臆病になっていた。それら全てが再び真衣香を襲っても、誰のせいにもせず受け止めて、彼のもとに行けるのか。
(自信なんてない、怖い、わざわざ傷つきに行くだなんて)
定まらない心。
両手で顔を覆った。しかし、それでも瞼の裏までは隠せない。そこに浮かんでくる顔が確かにあるんだ。
「ちなみに、お前が着替えに行ってる間な、下に内線入れた。坪井は帰ってたぞ」
うつむき、黙ってしまった真衣香の心の内などきっとダダ漏れなんだろう。
八木は、何としても真衣香を動かしたいのか。言葉はやまない。
「まあ、営業部はどう考えても今の時期忙しいし。予定でもなけりゃこんな日に早々帰らねぇわな」
「……予定?」
真衣香は顔を覆っていた手を離して、八木を凝視していた。
ほんの数秒だけれど、キツく唇を噛んだ真衣香に気がついたのか。八木の指が優しく髪に触れた。
落ち着いて聞け、とでも言いたげなとても優しい手つきだ。
「女かどうかは、知らねーよ。けど、お前を好きだって言ってたあいつの言葉が本心だったと仮定して」
ひとつひとつ区切って、言い聞かせるようにゆっくりと八木の言葉が続く。
「好きな女が別の男のもんで、まわり見りゃ浮かれたクリスマスか。あいつの今のメンタルじゃどう出るかわからんわな」
ドクン、と。一際大きく跳ねた心音。
襲ってきたものは不安と恐怖だ。