いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「まぁ、そんな感じで、さっきも言ったけど。男と女なんてお前が思い描いてるみたいに綺麗事じゃないってことだよ。うちの会社にだって不倫してる奴もいれば、なんなら俺も既婚者に誘われて寝たこともある、別に楽しけりゃいいだろって思ってた時もあるから」
「…………は?」

さっぱりわからない世界の話をされて、涙が引っ込んでしまった。それがいいのか悪いのかさえわからない。

「だったらお前らなんて、まだ可愛いもんじゃねーかって思うだろ。何されたか詳細は知らんが……あいつの部屋からコート着ずに飛び出してる時点で想像つくわ」
「え、いや、思うだろって言われても何が何だか……」

真衣香が珍しく眉間にしわを寄せて、難しそうに考え込む表情を見せた。

「坪井の相手がお前じゃなかったら、そのまんま、可愛いもんだなって思って眺めてるくらいの、俺にしてみればよくある揉め事だよ、多分な」
「え? よ、よくある……」

愕然とした様子から、真衣香の純粋さが透けて見えるようで。
八木は目を離すことができないでいる。
その一方で真衣香はそんな様子に気がつく余裕も場数もない。

「だから、お前だって、別に自分で決めるんならいいんじゃねーの」
「な、何をですか」

次に八木は何を言い出すのだろう……。と、緊張したように唇を固く閉じ、黒目がちな瞳を八木の瞳に固定させ、じっと見つめた。

「好きだって認めたんなら。傷つきに行っても、いいんじゃないのか? 後悔するくらいなら」

八木そんなは真衣香から目を逸らすことなく、小さくもハッキリとした口調で告げる。

「ただ、行くって決めて行動するなら、何があっても自己責任だ。この前みたいに、何も知らずに傷つけられたって。そんな顔はしてられないからな、それだけ覚えとけ」

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