いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
声が震える。まとまらない心を伝えることがこんなに怖いことだとは知らなかった。
けれど、それでも伝えなければ……伝わらないんだ。
胸の奥に抱えているだけでは、何も変わらないんだ。
そう考えたなら、いつかの声が真衣香の頭の中で大きく響き出した。
『ただ、お前は人と正面切って話す前に、あれこれ考える癖があるだろ?』
『でも考えても予想しても今お前が知りたい答えは、俺の中以外にないのわかる?』
――高柳に呼び出された真衣香のもとに駆けつけてくれた、その後の言葉だ。
(……ああ、ほら。坪井くんはずっと私の欲しい言葉をくれてた)
なのに、たった一度の拒絶だけでどうして。
あの瞬間の彼を"すべて"だなんて、決めつけてしまったんだろう。
「……ごめんなさい、うまく言えなくて……でも」
でもどうか伝わってほしい。抱えきれないほどの、想いを、知っていて欲しい。
その決意が、涙混じりで震える声を部屋に響かせ続けた。
「私の“信じる“って、そうゆうことだと思ったの。あの夜はなんの決意もないままに答えてごめんなさい」
言い切ったなら、心の中でバラバラに散らばっていた坪井への想いがひとつにまとまった気がした。
だから、目を逸らさずに隣にいる彼を、迷いのない瞳で強く見つめることが、できた。
その視線を受けてだろうか。
真衣香の手の甲に触れていた坪井の指がピクッと大きく跳ねた。口をパクパクと動かした。
……けれど、なんの声も聞こえてこない。
かわりに、ブラウンの瞳が大きく見開かれていき、今は頼りなく揺れている。
ついさっき外で、真衣香を見下ろしていた、その表情にそっくりだ。
……信じられないものを見ているような、そんな視線。