いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
「あ、ごめん。自己紹介が先だよね」と今更わざとらしく取ってつけたような笑顔になって。
「お久しぶり、私、青木優里です。あの合コンに真衣香を連れて行った友人です」
ようやく、名乗ってくれた。
「あ、ああ、そうだ優里ちゃん!」
真衣香の口から幾度となく聞いた名前が、頭の中でよみがえり、安堵したのも束の間。
「は? 気安く名前呼ばないで」
冷たい声が返ってきた。
まあ特に好かれていたいとも思わないのだが、真衣香の友人から嫌われているのもどうなのか。あまりいい状況ではないことは確かだろう。
(いやいや、てゆーか、安心してる場合じゃないだろ)
わざわざ真衣香の友人が、会社の近くにまで足を運ぶ。しかも、あの夜に連絡をしているのだとしたらかなり仲がいいのだろう。
(てか前に、優里に相談できなかったら他に聞けないからネットに頼るんだとか何とか言ってたな? これガチで親友的な感じか)
うーん、と内心唸る。
だとするならば、嫌われてるのは後々まずいんじゃないのか?
(しかも、俺に会いにって。普通に考えておかしいから)
沸々と湧き出る疑問を坪井が問うよりも早く、優里は口元にだけ不自然に弧を描いて。
「私、父方のイトコが芹那って、いうんだけど。青木芹那、同い年で、結構仲良かったんだよね」
一字一句、丁寧に区切って、ゆっくりとその名前を口にした。
「……あ、青木、芹那?」
「そう、青木芹那。私のイトコで」
ドクン、と心臓が嫌な音を立てる。
真衣香の友人に嫌われているかもしれない、などと生易しいものではなかった。
この寒いのに背中を汗が伝っていくのがわかってしまう。
間違いなく冷や汗だ。
待ってくれ、といくら祈っても。まさか目の前の事実など変わるわけもなく。
「坪井くんの、元カノだよね?」