いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
敵意丸出しで強く睨みつけられる。
無理もないと、坪井は眉を下げ相手を苛立たせない程度に少しだけ笑みをつくった。
「ちょっと、色々あって」
「芹那のことは関係してるの?」
「……まぁ、してるかと言われれば、そうだね」
坪井はカップに手を伸ばし、コーヒーを少しだけ口の中に含んだ。
それを黙って見つめていた優里は、まるで坪井を試すかのように、チクチクとした空気と物言いで話し始める。
「ま、さっきも言いかけたけどさ。ずーっと、聞いたことあるなぁって引っかかってて。名前ね、真衣香に聞いてたから」
「そうなんだ。あいつが友達に俺のこと話してくれてるって嬉しいかも」
坪井がニヤける口元を隠しきれないまま言うと「いや、大体いい話じゃなかったから!」と即座に返してきた優里。
呆れたようにため息をついた後「で、何でこんな聞き覚えあるのかな、よくある名前でもないのにって思ってたわけよ」と、付け加えた。
そんな優里の声を、今度こそ坪井は声を挟まずにコーヒーの苦味で気を引き締めながら聞き入った。
「でもこの間、イトコと……芹那と会う機会があってさ。まあ、学生の頃の卒アル。ちょうど引っ越しの手伝いだったし見たわけ」
視線を優里に固定して、言葉の終わりをじっと待つ。
「したらビンゴなんだもんねー。あ、芹那から聞いてた名前だったかー!って……嫌になるわ。てかイケメンってビフォーアフターそんなにないよね? 顔あんまり変わってないし、坪井って書いてあるしすぐわかったよ」
興奮気味に話し終えると優里は一転黙り込み、コーヒーカップを持ち上げた。
かわりに坪井がカップを置き、出来る限り冷静に問いかける。
「で、今日はどうしたの? 青木芹那の件なのか、それとも立花との今の件で? どっち?」
冷静を心がけたが、思ったよりも低い声が出た。