いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
(え、え、どうしよう。デートじゃないの?ご飯ごときでデートって言わないの大人女子は)
「つ、坪井くん、ごめん変なこと……」
「……っぶ、ちょ、待って立花、あ、アフター、ぶ、ははは!」
変なこと言って。と言い終わる前に坪井が盛大に吹き出した。
「…………笑いすぎ、じゃない?坪井くん」
「や、だって、なんなのお前それわざとじゃないんだよな?マジなんでしょ?」
「ふざけてはないけど」
プゥっと。つい不機嫌に唇を尖らせる。
「ちょ、いやいやマジ待って、その顔も可愛いし、デートしてくれるの?も、ヤバイでしょ。ほんと無理、可愛いってお前!」
「…………笑い飛ばされた後に、言われても」
さらに口を尖らせた真衣香の、唇に指が触れる。
「おーい、怒んなって。マジで思ってんの、こんな可愛いの見逃してたのさぁ、俺マジでビビってる」
「……もう、この流れどう考えても可愛いじゃなくて、おもしろいんでしょ坪井くん」
睨む真衣香を見て。
触れていない方の手で口元を押さえ、まだ止まらないらしい笑い声を押さえながら坪井は真衣香の頭を撫でた。
「てかさ、気になりすぎるんだけど、お前アフターファイブとか何なの? どこで仕入れたの? ガチで聞いたの初めてだけど」
坪井のセリフに真衣香は目を見開き思わず動作と声が大きくなった。
「え!? 言わないの?言うよね!? ドラマとかで言ってない?」
社会人になってから、彼氏が欲しいとより強く意識するようになった真衣香は時代問わず恋愛漫画やドラマ、そして優里を教科書にしてきたのだが。
「た、多分さ、最近のは言ってないよ……ぶっ」
止まりかけてたのに、また笑い出してしまう。
時代を問わなかったのがダメだったらしい。
(え、まさかの死語的な??)
「酷い……」
(ついでに恥ずかしい)
項垂れながらもトゲトゲした声を出す真衣香を見てだろうか。
更に笑い声が大きくなって、やがて。
ガラガラと椅子ごと移動しながら離れて元の位置に戻す。
その後、目の前にやってきて手を差し伸べた。
「立花、怒んないでよ、ね? 新種的な感じでいちいち可愛いんだもん、お前って。テンション上がんのくらい許してよ」
「し、新種……」
な?と、小首傾げられたら頷くしかないのだが坪井は確信犯なのか。
(新種でもなんでも、こんな優しく可愛いなんて言われたら……まぁいっかってなっちゃうよ)
真衣香がまだ少し口を尖らせたまま、でも大人しく手を取るとグイッと力強く引き上げられた。
「着替えてきて」
「あ、う、うん……ありがとう」