いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
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「それにしても坪井くんほんと凄いよね」
そう言った真衣香のことを、目を見開いた坪井が見た。
明日は5時起きだと嘆く坪井が『今日は諦めるかぁ』と、グイッとお酒を飲むジェスチャーを真衣香に見せながら言い、渋々会社近くのお店に入ったのだ。
その店は昼はカフェ、夜はバーとして営業しているのだが、もちろん飲まずに帰るお客さんも多いので比較的食事だけでも入店しやすい。
(って、八木さんに教えてもらったことがあるだけなんだけどね)
ランチの時間帯はごった返してる店内も、週始めのこの時間だと人も少なくゆったりしている。
流れてくるBGMが昼間と違いクラシックなのもそう感じる理由かもしれない。
真衣香自身はランチでしか利用したことがないので、オレンジ色の照明で柔らかく照らされる店内を見渡しながら、お昼と違ってオシャレだなぁ……なんて。
こっそり思いながら、4人掛けのテーブルに坪井と向かい合って座っていたのだった。
「いきなり褒めるなぁ〜、なんだよ、嬉しいけどさ」
「うん、ずっと思ってたけどこうやってゆっくり話すことってなかったし。この間は他の人もいたり、お酒も入ってたし」
「あー、そういえば、そっか」
曖昧に返事をしながら、何頼む?とメニューを広げて見せてくれる。
「うっわ、こんなとこ酒飲む以外で来ないからなぁ〜。オシャレ過ぎてメニュー何書いてんのか全然わかんない」
「え、そうなの?坪井くんなんでも知ってそうなのにね」
「はは、マジで?どんなイメージだよ。俺、基本次の日朝早いならソッコーで帰りたい奴だからね。会社近くの店なんてほとんど知らないかも」
頬杖をついて、柔らかな笑顔と共に坪井は言った。
聞いてしまって黙ってるわけにはいかない。
「えっと、いいの?今日は、その……なんか気を遣ってくれてる?」