いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました


「わ、わた、私だってそうだから……! 笑って誤魔化してるだけで心の中は不満や不安だらけ。だから笑顔の中がそのまま笑顔だって、思わない」

そんな、強い言葉が自然と続いた。
埋もれたくないと思ったからだ。

坪井の視界にある大勢の人たちの中で、埋もれていたくない。

せっかく、ほんの少しだけでも。
いつもとは違う表情を見せてくれた人の心を、真衣香だって見逃したくない。
坪井が、見ていてくれたように。
理解してくれていたように。

「みんな坪井くんを凄い人にして、いつのまにか押し付けちゃってることに気がついてないのかもしれないよ」
「……立花」
「たった2人の同期だよ! 坪井くんが言ってくれた」
「……え、えー、言ったと思うけど」

抑揚なかった声が変わり。
少し驚いたように、呆けたように、気の抜けた相槌が聞こえる。
坪井にしてみれば珍しいのかもしれない。

……だって、彼はいつも自分のペースで会話を管理してきたはずだから。
真衣香との会話も例外ではなかったんだろう。

そんな坪井のペースを掻き乱しても、伝えたいこと。
貰った心強さ、そのほんの少しでもいいから返したいということ。

「うん、言ってくれたの。 私ね、それがどうしても嬉しくて、その……」
「……うん」
「だから、なにが言いたいかというとね……つ、坪井くんもどうぞ私にいくらでも吐き出して寄りかかって、頼って! 隠さないで全部見せてほしいの!」

ドーン、と。
真衣香は胸に拳を当て、謎にあまり大きくはない胸を張った。
決まってしまってそうなドヤ顔が数秒の沈黙の間に恥ずかしくなった。

(……う、どうしよう、最高にウザいかもしれない私、今)

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