いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました
何故もっとスマートに言えないのかと、既に頭を抱えたいけれど。
今の真衣香では、このポーズをやめるタイミングさえ計れない。
「……私も勝手に、凄い人だなって遠巻きに見てたから……その、ごめんなさい」
そう、恥ずかしさを誤魔化すように真衣香が最後に付け加えた言葉は聞こえていただろうか?
わからないけれど。
坪井が何かを言おうと口を動かした。 しかし、声を聞き取る前に注文していたサラダが店員の女性の「お待たせしましたー!」という、可愛らしい声と共にテーブルに置かれた。
暫し無言で、互いにでさそのサラダを見つめる。
先に声を出したのは、珍しくも真衣香だった。
「……えっと、取り分けよっか」
胸にドン!と置いていた手を下ろしながら言って、サラダと一緒に店員の女性が持ってきてくれていた取り皿を手にする。
「え、あ、うん。 ありがと、ごめん」
「……ううん、大丈夫だよ」
らしくない、どこかボーッとした感じの声で坪井が答える。
見ているのかはわからないけれど、目線は真衣香の手元を眺めているように見える。
じわじわと心の中を不安が占めていった。
(……あ、どうしよう。ウザいかもどころか 絶対これウザがられてる、失敗しちゃった)
ぐるぐると頭の中で自分の言動を思い返す真衣香。
やがて、
サラダを食べている間に運ばれてきたパスタやパンを食べながら、目の前にいる坪井は普段通りのよく見知った明るい声と笑顔の男の人に戻って。
なんてない話を、して笑って。
帰る頃には、時間は夜の10時になっていた。