いない歴=年齢。冴えない私にイケメン彼氏ができました

「って、言ってもさ。 ま、俺がいけるよって受けてんのが1番ふざけてんだけどね」
「……ううん、できないんだよって言えなくて、いつのまにか当たり前になっちゃうの疲れるよね」

そんな真衣香の言葉の後に、微かに息を吸い込む音がした。
何だろうかと、坪井を見る。

「……疲れるかぁ、そうだね。 疲れてんのかな? だったら俺ラッキーじゃん? 今かなりお前に癒されてるけど」

ニヒっといたずらっ子のように笑った坪井が、空気を変えようとしているのがわかった。
わかったが、そうなってしまえばもうこの表情の、この空気をまとった坪井には会えないんじゃないかと何故か真衣香は思ったのだ。

「た、楽しくて笑ってる坪井くんと、笑おうとして笑ってる坪井くんの違いくらいは! 私今日でわかったよ……!」

だからだろうか。 気がつくと真衣香はそう口にしていた。
自分でも信じられなかった。
相手の望む、不快ではない言葉のやり取りを気がつけばいつも繰り返してきていたのに。

「え? 何それ、どうゆう事?」
「あ……、あの、えっと」

返ってきた声は感情を押さえ込んでいるように抑揚がない。
迷う。
余計なこと言ってごめんね、と。すぐに言えば空気はこれ以上微妙にならないかもしれない。

(でもそれじゃ意味がないんだよ)

せっかく向き合って話せているんだ。
知らないことが多い中で、少しでも知っていきたいんだ。
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