これは恋ですか。
「威!
お前のスーツ、デカイよ」


そこへ、だぼっとしたスーツを着た、何となく垢抜けない男性が現れた。
ここにいる一条専務、丹下社長、威社長の輝くような三人と比べると明らかにダサい。



「先輩、遅いですよ。もう、俺のスピーチ終わりましたよ」
丹下社長が少し不服そうにボヤく。


「丹下のスピーチなんぞ、聞かずにすんで良かった」

「いやいや、なかなか立派なスピーチだったぞ。
大和(やまと)には出来ないだろうなぁ」

あぁ、この人が話題の大和さんか。

「言ったな、威。
万が一そんな事をする羽目になったら、秘書に原稿を書いてもらうよ。な?九条さん?」


いきなり名前を呼ばれて、私はびっくりした。
この人、私の名前をどうして知ってるの?

…知らない男の人に名前を呼ばれた。
それだけで怖くなって身がすくむ。


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