これは恋ですか。
「お嬢様だって言われるの、嫌なんだね?
君はすぐに顔に出る。見てて飽きないな」

笑われた。

なんだか、無性に腹が立つ。


腹は立つけど、一応、来客。
しぶしぶお茶を入れた。


「お茶、どうぞ」

「あぁ、どうも」


ところが。
久我さんが誤って湯のみをひっくり返してしまった。


「あっ、大丈夫ですか?」


私が慌てて布巾を手にお茶を拭こうとしたら。


「待って」


久我さんは、こぼれたお茶をじっと見ている。


「久我さん?」


こぼれたお茶の流れをたどり、腕時計を見ながら難しい顔をしていた。


「そうか。落下速度、重要だな。調整するか」


いきなり、胸ポケットからメモ帳を取り出し、謎の数式を書き出す。


この人、一体なんなの?


「九条さん、パソコン、ある?」

「ありますけど…」

「ちょっと貸して」


私のスケジュール管理用のパソコン。

彼は胸ポケットからUSBメモリを取り出し、パソコンで何やら作業をし始める。


えっと、このパソコン、いつも、私がスケジュール管理してるパソコン、だよね?

なんかよく分からない数式みたいなのが、画面いっぱいに出てる。

本当にこの人、なんなの?
すごく、変わってる。


とりあえず、床の絨毯にシミが残る前に、拭かせて欲しいんだけど…




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