これは恋ですか。




「私はすぐに帰りますよ。NYに連絡しないといけないし」

副社長に半ば強引に車に乗せられた桜木先生がやっとそれだけ言った。


「高司先生に聞いたぞ。昼メシも食わなかったそうじゃないか。
最初から力みすぎだぞ」

副社長の言葉。
あれ?なんだか声のかけ方が親しげな気がする。

「日本にいる間に少しでも進めておきたくて。
昼食は…私、あんまりお腹空いてなかったし。
しかも、うっかり両替忘れちゃって、ドルしかなかった」

言葉を返す桜木先生も、副社長相手だとなんだかくだけてる。

「なんだよ、なら、言えよ。
全く、黒川がいないとダメだな」

やっぱり。なんだか、副社長も、まるで大和と話している時みたいに、リラックスしてる。
お二人は知り合いなのかな。


「副社長と桜木先生は、お知り合いなんですか?」


私の質問に桜木先生がハッと息を飲む。答えに困っているみたい。


「一条さんとは、高校の時からの知り合いで」


なるほど、高校が同じだったって大和も言ってた。その頃からの知り合いかぁ。


でも、桜木先生は、それ以上は教えてくれなかった。何も言わずただ、車窓の景色を見つめていた。
副社長も、同じように窓の外を見てぼんやりとしている。

私も、なんだかそれ以上聞けなかった。

車は寿司利久へと到着する。




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