これは恋ですか。
「ふ、副社長!」

私は慌ててその背中に声をかけた。
青ざめ、表情を強張らせた副社長が振り返ってくれる。

「こ、これ。
桜木先生の、ですよね?」

私の手のひらの上。鈍く光るプラチナのチェーンとリングを、副社長は驚いたように目を見開いて見つめた。

「チェーンはちぎれてしまっていますが、修理は出来ると思います」

「ありがとう、華子くん。

…君は、大丈夫か?」

チェーンとリングを受け取りながら、副社長は私の顔を見てくれた。

「私のことなんて、心配いりません。
それより、桜木先生のそばに。
無事を祈っています」


嘘。
あまりのショックに、震えが止まらない。泣きそう。
でも、副社長に心配かけたくない。

「ありがとう、華子くん。
大将、しばらく華子くんをお願いします。迎えを呼びましたから」

いつの間に、家に連絡してくれたのだろう。
こんな時でさえ、副社長は私の事まで気を配ってくれた。
やっぱり、すごい人。

救急車がサイレンを鳴らして出発する。

それを見送ると、途端に気が抜けてしまった。


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