これは恋ですか。
拭えない恐怖


ガラガラと、寿司利久の引き戸が勢いよく開いて、人影が飛び込んできた。

「華子っ!!大丈夫かっ?」

「…え?」

思いもかけない人の姿。
彼はすぐに私を見つけると駆け寄ってきた。

「あぁ、真っ青じゃないか。しかも、こんなに震えて」

ガバッといきなり抱きしめられた。


その力強さに、一瞬、安堵を覚える。
不安と恐怖に押し潰されそうだったのに。


でも、どうしてこの人が今、ここにいるの?
しかも、上下ジャージ姿で。


「専務に電話もらったんだ。
華子を頼むと」


副社長、家に電話してくれたのかと思ったら、まさか大和に電話してたなんて。


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