これは恋ですか。
「大和、来てくれてありがとう」

タクシーに乗ると大和は私の手をキュッと握ってくれた。

その温かさが力強さが、私を落ち着かせる。


「とりあえず、家まで送るよ。
場所は?」


「家…」


そうだ。
今、父が大阪に出張で、母も一緒に行ってしまって誰もいない。


でも、今日は一人になりたくない。


鬼のような形相の女。
血を流す桜木先生。
そして、桜木先生を抱きしめる副社長。


あの異様な情景が浮かんで離れない。



私が黙ってしまうと、大和は運転手に良く知ってる地名を告げた。


「掃除もしてないけど、お茶くらいなら出せるから」


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