これは恋ですか。
「…風祭玲子って知ってる。
タレントよね。ついこの間、違法薬物所持で逮捕された。
お父さんは代議士で、でも、お父さんも政治資金規正法違反で同時期に逮捕されたはず。

綺麗な人だったけど…さっきの犯人は鬼の様な顔だった。
落ちくぼんでギョロついた目が、怖かった…

一体、どうしてこんな事になったの?
10年もアメリカにいて、向こうで仕事をしている桜木先生が、なぜ日本で刺されなきゃならないの?
風祭玲子は、先生にどんな恨みを持っていたというの?」


あぁ。また思い出してしまう。
体が小刻みに震えてきた。


「ごめん。
華子、思い出さないで。
専務が詮索無用だと言っただろう」


大和は、私の隣に座って優しく手を握ってくれる。

大和の手は大きい。私の手がすっぽりと収まる。その手の大きさがなんだか頼もしい。

「…わかった。
もう、犯人のことは考えない。

桜木先生は、無事だったんだもの」


事件の犯人のことを考えても仕方ない。
殺意の理由など、私なんかにわかるはずもない。

そんなことより、大和に教えたい。
桜木先生と、副社長のこと。
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