これは恋ですか。
「俺も人のこと言えないけど。
華子の鈍さは、国宝級だと思うぞ」


鈍い。


そうハッキリと人に言われたのは初めて。
思いもかけない言葉。
大和のいつにない甘く優しい言葉に緩みかけていた気持ちが凍る。


秘書として失格だと、烙印を押された気がした。


「鈍い…?

私、鈍い?

副社長の秘書として、仕事の効率化を図るために、常に先を読んで、素早い対応しなくちゃならないのに。
求められているスピードが鈍いってこと?」


ショックで、泣きそう。

そんな私に、大和はイライラしたように自分の頭をかいた。


「違う!
そうじゃ、ない。仕事の話じゃない。

あーもう。
華子には、ハッキリ言ってやらないとダメだな。

いいか、良く聞け」


そこで言葉を区切ると、大和はすうっと息を吸った。それから意を決したように私の目を真っ直ぐに見つめる。


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