俺様副社長に娶られました
お砂糖でもまぶしたような甘い空気の中、名残惜しげに体を離したわたしたちは再び見つめ合う。それは、気持ちが通じたことを確認する作業のようだった。

政略結婚という形での結婚ではあったけれど、もう金輪際、隣にいても寂しいなんて感じることはないんだなって思ったら、体の真ん中がじんと痺れたみたいな刺激とともに温かくなってくる。

窺うように小首を傾げた創平さんが、鼻先でわたしの鼻をくすぐるように擦る。
気が遠くなるくらい、愛おしく陶酔したとき。


「っわ!」


急に体がふわりと浮いた。

わたしの体を軽々と抱き上げた創平さんは、最中キスをしながら歩き、創平さんの部屋の前でドアを開ける。
そして意思を確認するように、真っ赤になったわたしの顔を覗き込んだ。


「あの、」
「ん?」


ピタリと足を止めた創平さんが、穏やかに聞き返す。


「わたし……流されたわけじゃないです。創平さんが好きだから、こうしたいって思って……」


恥ずかしくて顔を隠すために、創平さんの肩に顔を埋める。
気持ちを落ち着かせる深呼吸のような息を吐く音が、耳に届いた。

ドアがゆっくりと開き、創平さんは一歩二歩と室内に踏み込む。
ベッドにわたしを降ろし、組み敷くと、結構深めにスプリングが軋んだ。


「んっ……」


戸惑ってる間にも、気を緩める余裕もなくキスが降ってくる。
軽く触れるものから、舌が絡む濃厚なものまで際限がない。

創平さんの体が覆いかぶさるように迫ってきて、窮屈にわたしは体をよじった。


「……あ、のっ」


着ているカットソーの裾をたくし上げられ、指の腹で肌をなぞられる感覚にビクッとする。


「今日ちょっと苺を食べすぎたので、わたし……」


お腹が出てると思うんです、なんて恥ずかしくて最後まで言えないわたしは、カットソーの裾を必死で引っ張ってお腹を隠す。


「そんなもんで太るかよ」


首筋にキスしながら、創平さんの手も負けじと侵入してくる。


「こら。焦らすなって」


変な攻防にちょっと笑って、創平さんはわたしを見下ろした。
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