俺様副社長に娶られました
夢の中ではわたし、創平さんに愛されてるのかもしれないと思ったら、なんだかちょっと切なくて、胸を締め付けるような痛みがあった。
現実では起こり得ないことだから、余計に心もとない気分になる。

目尻がなぞられるようにくすぐったく冷たくて、ああわたし、夢の中で泣いてしまった、と思った矢先。
無意識で流れる涙を指先でたどったわたしは、不自然なことに気づいた。

え?
本当に濡れてる……?

そう思ったのも束の間、今度は頭上から物音がして、わたしは夢と現実のはざまで呆然とする。


「甘酒か、懐かしいな」


薄目を開けると、こちらに背中を向けてベッドに腰かけている創平さんがマグカップを持って飲んでいる。
さっきの物音はラップをを剥がした音だったんだなと妙に納得し、ぼんやり見つめていたわたしは重くなる目蓋に耐えられず再び目を閉じた。

ポンポンと大きな手のひらでリズミカルに頭を優しく撫でられて、心地良いなと思いながら。
一連のアレは一体夢だったのか現実なのか……遠のく意識の中であえて考えないようにした。





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