笑顔の行方
「ところで寧々ちゃん。
その右手に握りしめている紙袋は何かな?」

しんみり仕掛けた飲み会を

いつもの感じに戻すのは、やっぱり洋介。

コイツのこの穏やかさに何度救われたか。

「彰人の話は、二人の時にゆっくり聞いてやれ。」

そう寧々に伝えて、紙袋に注目を向けると

直ぐにつられた振りをする面々。

「パパのプレゼントかぁ?」

「大パパのだよな?」

そんな兄貴達に

「みんなにだよ!
寧々と彰人君、二人揃って迷惑かけちゃったからね。
ちょっと変だけど…………手作りなの。」

そう言って取り出したのは…………

ブックカバー。

「みんな本が大好きでしょう。
これならお揃いでもいいかな?って思って。
…………………嫌だった??」

「………………あぁ~
嬉しい……………よ。」

「兄貴達と…………お揃いかぁ…………。
まぁ………でも。
一緒に使う訳じゃないし…………………。」

「ただ…………チェック柄っていうのは………………。」

3人は、寧々の手作りは嬉しそうだが

白とブルーのチェック柄とお揃いには………

戸惑っている。

……………だけど、俺は気づいている。

この柄とお揃いの意味に。

だってこれは………………。
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