極道の義娘は失声症
幸せが壊れるのは
いつも
血の匂いと
涙の音がする

私は何があったのか何もわからない頭で考えた
どくどくと血を流す肩
鉄の匂いが酷く漂う
「ーっ」
叫びたい
けど
叫べない
だから私を殺すと
(そして怒りを買い私の大切な皆を殺すつもりか!)
ギロリと相手を睨む
その相手は
北原家の頭,北原玲
私は肩を押さえながら睨む
「いい目で睨むねぇー」
「ーっ」
グイッと顎を掴み上げられる
私はギロリと睨んだまま北原を見た
「帝坊ちゃんはどーしよーか」
その言葉に目を見開くと
北原はニヤリと笑った
(しまった!弱みを!)
「どうする?」
「ー!」
足を振り上げて北原から銃を奪う
「撃てんのかい?」
「………」
ーーーーパンッ
私の手から銃が消える
北原がもう一つの銃で撃ち払ったからだ
私は北原に向かって走り回し蹴りをする
その足を掴まれた
両者動かない
「強いんだね~」
「でも」
私の銀髪が落ちる 
(刀か!)
回転して着地した
長かった銀髪が短い
「ーっ」
(肩が痛い)
だけど
この場で逃げたくない
守るって決めたんだ
「んー,いい女なのにね」
「しーんーで?」
その言葉と共に
私の意識は消えた



「ありがとう,気絶させてくれて」
「いえ,主人のためです」
「酷いねぇ~海」
ヒョイっと抱き上げる主人に私はニヤリと笑う
(いい女)
流石に主人の選んだ方,美しい
湊は涙を流した
「あらら,泣いちゃった」
「行きましょう」
私たちは歩き出した

海完

「帝!落ち着け」
「玲華!落ち着け!」
俺たちは玲華と帝を押さえ込む
今にも爆発しそうな二人
そりゃそうだ
血の跡と手紙を置いている
手紙の内容は
頂きま~す
返して欲しいなら来てご覧
北原
「ふざけんな!殺してやる」
「同じく同感だ!殺してやる!」
「「落ち着け!」」
「大人しく」
「「この大馬鹿もの!」」
「取り敢えず行くぞ!」
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