最初で最後の愛の話
「ミコトくん、ごめんね」

愛は泣きながら言った。僕は顔をそらし、泣くまいと必死で堪える。でも、一緒にいられる時間が少ないと考えると気持ちは抑えられなかった。

「愛、ごめん……」

僕は愛をゆっくり見つめる。愛はずっと僕を見て泣き続けていた。僕の目からも涙がこぼれ落ちる。

「もう、泣いていいかな？」

愛はコクリと頷く。僕は愛を抱きしめ、「ごめん」と何度も言いながら泣き続けた。

それから、僕は執筆をしばらく休むことを決めた。執筆よりも愛の残りの時間の方がずっと大切だ。僕は愛のそばにずっといることに決めた。

「愛、おはよう」

「ミコトくん、おはよう」

隣で横になっている愛に笑いかけ、朝ご飯を用意する。愛は、「おいしい」と僕の作ったご飯を食べながらいつも言ってくれる。その声は、あの時のような声ではない。それがとても切なくて胸がギュッと締め付けられた。

掃除、洗濯を済ませた後は、愛とテレビを見たり折り紙を折ったりして過ごす。数年前まで休日は必ずどこかへ遊びに行っていたけど、愛の体を考えて家で過ごすことが多くなった。
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