梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~


 いったん学校を出て、旧校舎の裏側を通る細い路地に入った。

 こちら側も工事用のフェンスが高くはられている。どうやらお手上げのようだ。

「だからって諦めるわけには……っ」

 普段なら絶対にしないであろう選択肢。それは、塀を登ること。

 フェンスは二メートル以上あるけれど、学校のブロック塀はそれより低い。

 手を伸ばせば、塀の縁に手が届く。

 私は縁を掴んでブロック塀の少しの段差につま先をかけ、渾身の力を振り絞ってよじ登った。
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