【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「俺、言ったろ?雨野はときどきそういう顔すんだって」
それは先日も、葵くんに言われたばかり。
「ずっと見てきたから、俺にはわかるよ」
「ずっと……?」
ゆっくりと足元から視線を上げれば、葵くんは真剣な眼差しを私に向ける。
「お前のこと知りたくて、俺はずっと見てたよ?」
「え?」
思わず零れた私の声。
それでも、葵くんの瞳は変わらず私を見つめていた。
そして、一度離れた手は、葵くんによって再び繋がれて……。
「お前のこと、もっと教えて?」
傘の中……葵くんのそばに引き寄せられた。
ドキッ……と、高鳴りを増す鼓動。