【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「私の、こと……?」
そっと聞き返すと、葵くんは安心させてくれるような微笑みを浮かべる。
「なにかあったって顔してるだろ?」
「……」
手紙のことを伝えようか迷った。
思い出すだけで胸がちぎれそうになる。
────けれど、
「お前はもっと甘えていいんだよ」
葵くんの優しい声が、真っ直ぐに私の心に届いた。
意を決して、私は口を開く。
「……変な、手紙がきたって。八雲先生が」
「手紙って、例の?」
葵くんが眉をひそめる。
私は準備室で八雲先生に見せられた手紙のことを全て話した。
「人殺しだって……お父さんのこと」