【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


「お父さんが今度電話するって言ってたから、その時にでも聞いてみなさいね」


「わ、わかった……」


「本当にごめんね?それから、葵くんにもよろしく伝えてちょうだいね。お医者さんが呼んでるから、そろそろ切るわ」



お母さんは再びごめんね、と名残惜しそうに言ってから電話を切った。


本当は葵くんとはいつから知り合いだったのか、色々聞きたかったんだけど……。


その件は、お父さんと電話をした時に聞いてみよう。



重苦しい身体を引きずりながらクローゼットを開けて、制服を取り出そうとしたその時、



───ピシャッ!!



「なにしてんの?」


「っ、」



突然ふすまが開いでギョッとした。


振り返ると同時に葵くんの不機嫌そうな声が飛んできた。

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