【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?


「イチゴのゼリー食べたでしょ」


「えっ。うん……あの、ありが……っ」



ムギュっ。


……ちょ、ちょっと!?


葵くんの両手が突然私の頬を包んだ。


というか、押さえ込んだ。




「あれは俺の」


「へ……!?」


「雨野はぶどうなんだけど」



……いや、聞いてないんですけど!?


勝手に食べちゃった私がいけないんだけど……。



「イチゴが葵くんのだなんて知らなくて……」



飛びつくように見上げると、葵くんのキャラメル色の髪からぽたぽたと水滴が降ってきた。


そんなこともお構い無しに葵くんは私の顔を持ち上げて、



「はい確保」



と、目を細くした。

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