【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?
「まぁ、でも。空がクリアファイル体型ってことはもう十分わかってるけどさ?」
「そうそう。特に胸が全然成長しなくって……って!海ちゃん……!!」
「あははっ。冗談だよ。わたしね、自己紹介してる空のこと見て、いいなこの子って思ったんだよ?」
海ちゃんの優しい横顔を私は見つめる。
「あ。変な意味じゃないからね?わたし、イケメン好きだしさ?」
わかってるよ!と、私は笑いながら相槌を打った。
「警察官のお父さんを尊敬してるってみんなの前で言ってる空が眩しく見えたの……。わたしだったら、照れくさくて絶対言えないなぁって」
最初の自己紹介の時、海ちゃんも聞いてくれていたんだね。
こうして覚えてくれていたことが私はなにより嬉しいよ。
「それでね、わたしは昨日のことで空になにか聞いたりもしない。過去に……なにがあったかってことより、これから空と笑っていられるにはどうしたらいいかってことの方が、わたしには重要なんだよね……」
ふと、顔を向けた海ちゃんと目が合った。
すぐにまた引っ込んだはずの涙が浮かんできそうになる。