冷酷王子は子リス姫を愛でる
できればキャシー以外に触れたくない。



あのマリアンヌとキスなんかできる気がしない。



「はははっ、無理かもしれん‼︎」

「本命以外を抱くことが?」

「あぁ」

「キツイよ、実際。心が冷めないように必死で妄想すんの。『何してんだろう…』って思ったら終わり。『仕事』とか『義務』だと思わなきゃ、やってらんない」



王子も大変だと笑ったサネルだったが、とても悲しそうだった。



マリアンヌ、デイジー…。



たぶん、心がついていかない。



一緒に過ごさなきゃいけない夜もあるのかもしれないが…。



「ハァ…」

「楽じゃないよね、王子もさ」

「帰ったら遊び人の弟に指南してもらおう…」

「ははっ‼︎そのことより、ハネムーン、楽しみだよ。俺の国を余すことなく堪能してくれよ?」



波の音が心地よく聞こえる夜は、同志と一緒に飲み明かした。



これが友人というもの。



アレン以外で、初めて心から信じられる友ができた夜だった。



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