【女の事件】十三日の金曜日
第12話
2月1日の朝9時半過ぎのことであった。

久通の実家に、高松の出張所から電話がかかって来たので、ふきこが応対に出ていた。

「もしもし…あの~…すみませんけれど…主人は体調がすぐれないので、しばらくの間だけ休ませてほしいのです…どこか具合が悪いのですかって…すみません…今家は非常事態だからあとにしてください!!」

(ガチャ…)

ふきこは、受話器を置いた後に大きくため息をついていた。

久通は、前日の正午に具合が悪いと言うて早退けをして以降、音信不通になっていた。

広永さんは、久通が出勤していないので心配になって家に電話をかけたが、久通の声を聞くことができなかった。

その上に、久秀も職場放棄をして行方不明になったので、両親はものすごく困り果てていた。

その頃であった。

あつこは、ひろつぐを連れて中之庄町の国道沿いにあるマルナカへ買い出しに出掛けていたので、家にはいなかった。

「ふきこさん。」
「義母さま…」

この時に、義母(久通の母親)がものすごく深刻な表情でふきこに話があるから居間に来てほしいと言うた。

「ふきこさん…ちょっと話があるから居間に来てほしいの…」
「お話…」
「うん。」
「お話って…」
「居間で話すから、ちょっと来てちょうだい。」

ふきこは、義母の表情がものすごく悲愴な表情になっていたので、もうこの家には居場所がないと思い込んでいた。

居間にて…

義母は、ふきこに対して『ふきこさんにはもうしわけないのだけど…』と言うて、家から出て行けと言うた。

ふきこは、久通の親きょうだいからきらわれていると思っていたので義母にこう言うた。

「義母さま!!あんまりですわ!!アタシは、義父母さまとおじいさまと義弟と義妹に気に入られるように一生懸命努力をしていたのに、とつぜん出て行けだなんてあんまりですわ!!」
「ふきこさん…アタシはイジワルで言うていないのよ…お願い…わかってよ…」
「いいえ!!納得できないわ!!アタシがこの家を出てゆかなければならない理由がなんなのかを説明してください!!」

義母は、ふきこがものすごく怒っていたのでどのようにして説明をすればよいのかわからずに困り果てていた。

義母は、ふきこに家から出て行くようにと言うた理由を説明した。

「ふきこさん…おじいちゃんの介護をふきこさんに全部任せていたことについては、アタシたちはもうしわけないと思っているわよ。」
「そんなことはどうでもいいわよ!!アタシはなんで義母さまから出て行けと言われないといけないのか…それが分からないのです!!」
「だからイジワルで言ったわけじゃないと言ってるでしょ!!」

義母は思わず叫び声をあげてしまったが、改めて理由を説明した。

「ふきこさん…アタシたち家族は、おじいちゃんを自宅で介護して行くことができなくなったのよ。」
「自宅で介護を続けて行くことができなくなった…」
「ええ…それで、おじいちゃんを大急ぎで新宮の老健施設へ移すことにしたのよ。」
「どうして…どうしてなの?」
「だから!!自宅で介護を続けて行くことができなくなったと言ってるでしょ!!」
「義母さま!!アタシ!!義母さまの言葉に思いきりキレているのよ!!」
「ふきこさん!!」
「アタシに出て行けと言いたいのは、アタシがおじいちゃんとやらしいことをしていたからと言うことでしょ!!ジョートーだわ!!追いだしなさいよ!!アタシはおじいちゃんとやらしいことをしたみだらな嫁よ!!アタシは結婚前に複数の男をつまみぐいをしていたみだらな女だから、結婚する資格なんかないのよ!!義母さまが出て行けと言うなら出て行くわよ!!」

このあと、ふきこは義母に対して今までの怒りを全部ぶつけたあと、嫁姑間でひどい大ゲンカを起こしてしまった。

そんな時に事件が発生した。

中之庄町のマルナカに買い出しに出掛けていたあつことひろつぐが事件に巻き込まれてしまった。

ひろつぐが駐車場で暴走していた黒のミニバンにはねられた後、あつこがミニバンに乗っていた7人組の恐ろしい猛獣のマスクをかぶった男に無理やりのせられて、川滝町の山中に連れて行かれた。

ところ変わって、川滝町下山の森林にて…

あつこは、恐ろしい猛獣のマスクをかぶった男7人から、かわるがわるに平手打ちで顔を叩かれていた。

(バシッ!!バシッ!!バシッ!!バシッ!!)

「イヤ!!イヤ!!イヤ!!イヤ!!」

(ドサッ!!)

あつこはその場に倒れた後、男たちに身体を押さえつけられた。

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

リーダーの男は、刃渡りのするどいサバイバルナイフで着ていたマゼンタのカーディガンと白のブラウスを切り裂いた。

(ブチッ!!)

続いて、男は白のストラップレスのブラジャーを引きちぎった。

「イヤァァァァァァ!!おかーさん!!おかーさん助けて!!おかーさん!!おかーさん!!」

あつこは、激しい泣き声をあげて助けを求めていたが、恐ろしい猛獣のマスクをかぶった男7人犯されて、殺されてしまった。

それから四時間後のことであった。

(ジリリリリリリリン!!ジリリリリリリリン!!)

けたたましい電話のベルが鳴り響いていたので、義母が応対に出た。

「もしもし…入江はうちですが…えっ?四国中央警察署…もしもし…あつことひろつぐが殺されたって…もしもし!!もしもし!!」

この時、祖父がいる部屋でふきこが強烈な叫び声をあげていた。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!義母さまーーーーーーーーー!!」

この時、祖父が大量に吐血をしたあと身体がコウチョクしていた。

義母が部屋に来た時、床下一帯に大量の血が染まっていたのを見たので、ふきこにつられて強烈な叫び声をあげていた。

「おじいちゃん…おじいちゃん…おじいちゃん!!おじいちゃん!!」

祖父は、ふきこと義母の呼びかけもむなしく息絶えてしまった。

もうダメ…

もうダメ…

アタシ…

もうダメ…

こんなことになるのだったら…

結婚なんかするのじゃなかった…

もうイヤ…

もうイヤ…

もうイヤ…

アタシ…

イヤァァァァァァ!!

イヤァァァァァァ!!

イヤァァァァァァ!!
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