愛プチ
私の部屋は丸々置いてあるらしく、本当に昔と変わらずそのまま残っていた。

とりあえず、食器とかも昔のものがあるし、家具も一通り残っている。
服も古いけどある。。
なんやかんやでそれなりに生活していけそうだな。

とにかく今日はとても疲れた。
何があったか思い出すと頭がパンクしそうだ。

ファミレスで女の子にぶっかけられた水はとっくに渇いており、むしろかけられたことすら忘れていた。

シャワーはまた明日の早朝にでも浴びよう、、。

懐かしいベッドにダイブし、最後の気力を振り絞って、ケータイのメッセージアプリを開く。

私の今、気になっている人、進藤さんからのメッセージは来ていない。

来て、ないか、、。

それを最後に深い眠りに落ちた。


翌日目が覚めたのは結局昼過ぎだった。
布団をかぶらずに寝てしまっていたため、体がかなり冷えている。

「!?あれ私なんで?!

ってそうだ、昨日、、色々あったんだった、、。」

寝起きでぼーっとする頭を抱えながら、下の階に降りる。

リビングで水を一杯飲みながらケータイを開くと、昨日は来ていなかった進藤さんからのメッセージが来ていた。

”今週の土曜の夜に一緒に晩御飯でもどうですか?”

デートだ!
デートのお誘いだ!!

ついてない事ばかりが続いて沈んでいた心が潤うようによみがえる。

駆け引きなどができる程器用な女ではないのですぐに行けますと返信をした。

うれしい、うれしいうれしい!
思わず、つい鼻歌がでたところでハッとする。
違う!私今一人暮らしじゃないんだった危ない!
聞かれてたらめちゃくちゃ恥ずかしい!!

バッとまわりを見渡し、人がいないのを確認する。

あの二人は、土日は仕事なんだろうか、、。

家に人がいる気配がしない。

リビングのドアをおそるおそる開けてみるがやっぱり誰もいない。


外の小さなスペースにきちんと干された洗濯物をみて少しずつ同居という実感が湧いてきた。
お兄さんが干していったのかな?
仕事もしてるのに家事もしてるなんてすごいな。。

美月君は大学だろうか?
若いし遊びに行ってるのかな。

とりあえず、誰もいない今のうちにシャワー浴びちゃおう。

急いで脱衣所に向かい脱いだ服を洗濯機に入れてまわす。

なんだか、一日お風呂に入らなかっただけなのに、一週間ぶりのような懐かしさを感じる。

シャワーの湯気で張っていた心が少し緩んだ気がした。


お風呂を出て髪の毛をドライヤーで乾かし、すぐにアイプチで目を二重にする。

そしてハッとする。
いかん、他の人と住んでると思うとつい癖で流れるようにアイプチしちゃう、、。

この癖も時間をかけてなおしていこう。。
目標は美月君とお兄さんの前でアイプチなしでも堂々と挨拶できることにしよう。


とりあえずアイプチだけしたし、マスクして買い物でも行こうかな。
色々と買い足したいものもあるし。

なんだか、体がものすごくだるい気もするけれどそれはきっと昨日少しお酒を飲み過ぎたせいだろう。


近所のスーパーで自分の食料を調達する。
ちょっとしんどいからスポーツ飲料も少し買っておこうかな。

昨日の疲れがよっぽどたまっているのか、ふらふらしながら家に帰る。
家につくと同時に五時のチャイムが鳴った。


なんだか、この家にいると、二年前に戻ったような気分になるな。

景色もこの家の見た目もあまり変わっていない。


変わったことといえば、そう。


家に帰ると、おばあちゃんではなく、私を毛嫌いするイケメンがいるということ。
< 10 / 45 >

この作品をシェア

pagetop