キミは当て馬、わたしはモブ。
隣で帝塚くんが言葉をなくしているのがわかる。
いや、それもそうだ。なんて言ったらいいか迷うよね。わたしもなんでこんなチョイスしたんだろうって、反省してるところだから。
小さく喉を鳴らしてから、ゆっくり口を開ける。その動作だけでも、慎重に言葉を選んでいるのが伝わった。
「えっと……。今しろってことですか?」
「ちっ、違うっ!」
でも正直そう思われても仕方ない発言だった……っ!
そしてキミはどうして考えた上でストレートな物言いをするんだよっ!
「まぁ、今じゃなくてもたくさんできますしね」
「う……」
「今日も家に行きますね」
「うん……」
あの日から、帝塚くんはほぼ毎日わたしの家に通っていた。放課後や、土日も含めて。
たまにお兄ちゃんと出くわすときがあって、兄劣勢の口論が始まることもあるけど。
男女交際としては、順調な部類なんじゃないだろうか。
……でも、わたしには悩みがあった。
帝塚くんがウチに来るのが原因だ。彼は理由があって来ており、それがわたしの不満を深めている。
その、理由っていうのが――