キミは当て馬、わたしはモブ。




 空は快晴。朝の少し冷えた空気が気持ちいい。


 こんな日は、学校に行くのも楽しくなるなぁ。



「おはようございます。作戦を考えたので聞いてください」



 懲りずに下駄箱で待ち伏せする眼鏡の男がひとり。


 わたしは無視をして通りすぎ……ようとしたけど、やっぱりやめた。


 告白から約一週間、帝塚くんも気分が晴れなかったのか、わたしに絡んでくる回数が極端に減っていたからだ。


 それがやっと今日、前みたいに図太い帝塚くんに戻った。


 吹っ切れてよかったね、って。言わないけど、思ってる。



「話、聞いてあげてもいいよ」


「助かります!」



 珍しく帝塚くんのテンションが高くなる。


 何もしないってスタンスは続けたい。だから、話は本当に聞くだけだよ。


 そう釘を刺したのにも関わらず、やっぱり帝塚くんは嬉しそうに微笑んだ。


 これ……やっぱり完全に友達の恋愛相談を受ける関係に近いよね……。


 複雑な心境だ。わたしは応援するべきではないのに、ちょっとしてるところがある。


 だってこんなに一生懸命で、諦めなくて、一途で……好感度上がってもおかしくないよね?

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