キミは当て馬、わたしはモブ。
帝塚くんの作戦ってやつは、ちょっとましになっていた。
「俺、アカネさんと友達になります」
「ふーん」
なるほどね。悪くないじゃん。
「そのために、いつの間にか抜け駆けしてアカネさんと友達になっていたというキミを利用します」
「ちょっ……たまたまそういう流れがあったの! 嫉妬しないでよ」
「利用されることに同意しますか?」
「利用したいなら勝手にすればいいよ」
「俺が作戦を実行することによって起きた、いかなる過失においても、一切の責任を取りませんがよろしいですか?」
「同意しない」
「冗談ですよ」
「冗談って真顔で言うもんじゃないから」
だから怖そうって誤解されるんだよ。
さっきみたいにたまーに笑うこともあるけど、ほんとに珍しいからなぁ。
歩きながら話していたら教室に着いたので、二人で入った。
視線が一気に集まる。
うっ……我慢我慢。帝塚くんと一緒にいるなら、少なからずこんなことでくじけるわけにはいかない。
一週間ほぼ話さなかったときは、破局の危機、なんてまことしやかに囁かれてたの、知ってるんだからね。
何が破局だよ。何も知らないくせに……。