会長様の秘蜜な溺愛
▼ヒミツな暗雲
「おまたせ」
「待ってましたっ!」
月曜日、放課後。
わたしは麗ちゃんのお家におじゃましていた。
昨日まで行われた大会で1点も取られることなく圧勝を重ね、完全試合で優勝したサッカー部。
元々今日の練習は無しになることが決まっていたそうだ。
貴重なオフにも関わらず家に来ないかと麗ちゃんが誘ってくれていたため
朝方にニヤニヤしながらフィナンシェを作り、鼻歌を歌いながら上機嫌で登校したのだった。
…起きてきたお母さんに引かれたけど気にしてない。完全にドン引きされてたけど本当に気にしてない。
「わぁー…!何か…癒しの匂いがする…!」
「ふふっ。フィナンシェには夏摘みのダージリンが合うってお母さんが言ってたから、そうしてみたの」
広がっていくフローラルな優しい香りに、わたしの嬉々とした息が漏れた。